今までの人生でたぶん一番の危機だった頃の話。
2002年半ば
それまで、「使われ上手が使い上手と自分」に言い聞かせ仕え人に徹してきた。
ある事をきっかけに仕え人が心底嫌になり卒業しようと決断(33才)
優先順位が逆なのだが、ウェブサイト運営で食べていく事を決意
貯蓄額は300万程
PC・デスクほか機材一式を揃え、残りは食べていけるまでの生活費(二人分)
十分な準備もないまま、飛び出したわけで、案の定半年で貯蓄が消える
収入を求め、近くの倉庫要員としてアルバイトをはじめる。
一旦悪循環に入ると悪い事は続くもので、通勤途中でバイクの自損事故。
そして救急病院で誤診。以後半年間まともに歩けない状態。
今思えば、そのリハビリ期間にウェブサイト作成の基本を学んだ事になる。
その間、相方はパートとウェブサイト作成を両立
ただし収入は家賃にも満たない。
友人に借金をし、最後は両方の親に借金を申し出た。
それでもしょせん借金。支出に追いつかない。
一気に進もうとしたツケがみごとに跳ね返ってきた。
約20年すごした東京を後にして、帰郷。
生活費をギリギリまで抑え、なんとか歩けるまで復帰した体でも働ける仕事はないかと探す。
ようやく見つけたのが観光ホテルのフロント係り。
夜の9時に出勤し、フロント業務をこなし、戸締り、巡回をすませ休憩室で仮眠。朝の交代までまたフロント。そんな業務。
相方はそのホテルで昼間の会計事務に雇って貰えた。
ウェブからの収入はほとんど無い。二人の稼ぎでは缶コーヒー一本を捻出するのも厳しい。
3ヶ月を経過した頃、相方との喧嘩も耐えない状態になっていた。
その頃、初めて本気で神頼みをした。
「いったい、どうしたらいいんですか?教えてください」
・・・数日後・・・
ホテルの休憩室でTVを見ていた。
NHKの「アクターズスクール」だったと思う。
ゲストは羊達の沈黙でブレイクしたアンソニーホプキンス。
60代のおっさんが妙にファンキーなのだ。
あなたの好きな言葉は?「NO!」
今までノーと言えなくてどれだけつらい思いをしたか!との事。
否定的な言葉なのに、会場は大爆笑。とにかく見入った。
インタビューを要約すると
「60を迎えた今が人生で最も楽しい、なんて最高なんだ」というような事。
もうね、その楽しそうな姿に一気に持っていかれました。
そして最後のインタビュー
「俳優の卵に何かアドバイスを頂けますか?」
その時の言葉が忘れられず色紙に書き留めた。
※色紙が汚れている点はご愛嬌ということで(笑

「全知全能の神でさえも疑問は抱く
時には程ほどの疑問が必要。
大切なのは一歩前に踏み出す勇気である。
もっと大切なのは、それを続ける事。
決して一気に飛び出そうとしてはいけない」
以来、苦境に負けそうになると、この色紙を見ることにしている。
